幼なじみ 3

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「いいよ」 奏太が見てる 「じゃあ・・・・・・」 マサピーも 奏太の視線に気付いて 「フェンスのところ」 意味もなく薄く笑って 歩きだす 何なわけ、今の 困っているような 怒っているような でも本心では 何を考えているのか 分からない笑い方 俺の記憶にある おちゃらけた笑みとは 違う 微妙な笑い方をマサピーは いつから するようになった? 「御堂って」 栄太がいる? ドキっとして 三メートル以上ありそうな フェンスを見上げ 外の道路へ 視線を向けたけど姿はない 「猫みたいだよね、音を立てずにフェンスを乗り越えるんだから」 あの日 栄太の姿はグラウンドには なかった 「そうだな」 道路側から フェンスを乗り越えて 通学靴を マサピーの股間をめがけ 落としたのだろう グラウンドの端に 点在する桜の木に背を預け 栄太が 降り立った辺りを 目に映しただけで頬が緩む 「義人さ、奏太のことどう思ってるの?」 「は?」 「さっきの態度見たよね。ふらついたのが義人だったら奏太、あそこで練習、してるのかな」
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