幼なじみ 3

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ぞわっと うなじの毛が逆立つ 島田の視線は スッと横へ動き 俺の視界を遮った栄太の 広い背中へと変わった 「何を企んでる」 冷静な栄太の声 冷静であればあるほど 怖いのが栄太 優秀な頭の中で 脳という名の コンピューターをフル稼働中 こんな時 俺に出来るのは栄太の 邪魔をしないことだけ マサピーのことが 気になるけど じっと 息を潜めて成り行きを 見守るしかない 「お友だちの心を晴れやかにしてあげたいねって、話してるだけ。やだ怖い、魂を奪いそうな眼で睨まないでよ」 怖い? ヒョイと 気配に変化のない栄太の 背中から 顔を覗かせれば 苦笑した栄太に コツン 柔らかく額を小突かれた でも、栄太の笑みは 美和たちが 逃げるように階下へ 駆け下りてすぐ 消えた 「アイツらと関わるなと言っただろう」 「だって、マサピーが」 「須田は最近、アイツらにくっついて行動してる。気づいてたんだろう? 部内の雰囲気がおかしいことは」 マサピーは 部内で距離を置かれていた 誰に訊いても 奏太も よそよそしい態度で マサピーに接する理由を 教えてくれなかったけど 今は分かる 奏太が マサピーに声を掛けられた 俺をじっと 見ていたのは マサピーを 警戒していたからだ
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