幼なじみ 3

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トイレ休憩に 解放された校舎に用は ないらしい グラウンドを向いて建つ 校舎の裏には ぽっかりと空間がある その場所に 座り込んで煙草をふかす 俺と同年代っぽい 男たちの横を 注目を浴びながら 通り過ぎていくのはあまり いい気分じゃない 参ったな 無視されるのは覚悟の上で 呼び止める つもりだったのに コイツらの前でマサピーを 呼び止めるのは 避けた方がよさそうだ 《ガシャン》 ガラス瓶の割れる音に 続いて しゃがれた笑い声が響いた 何しにきたんだ、コイツら 酒を飲み タバコを吸い お菓子を食べ散らかす ガキの中にいるからこそ あの男は目立つ 武道場の壁にもたれ掛かり 腕を組む 温和そうな顔の男の前で マサピーが止まった 同時に 座り込んでいた連中が 次々と立ち上がり 通路を塞ぐ位置に移動する 「あー・・・・・・、やられたかも」 どうしてこうも 鈍いかな、俺 マサピー いや、須田に拘る俺を 誘い出すため 栄太と奏太が 出場する競技の時間を狙い 須田は島田たちと 離れたのだろう それにしても腹が立つ 仲間だと 思ってたからこそ簡単に 騙された自分も 満足げな表情で笑う 須田の いけ好かない顔にも 拳を叩き込みたいくらい 腹が立つ
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