幼なじみ 3

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怒鳴り声が響き渡り 不意に騒がしくなった 校舎裏は 「掃除の邪魔だっつってんだろ! 突っ立ってねえで動け! 動けねえなら失せろ!」 迫力のある 奏太の一喝で静かになった じりじりと 焼け付く日射しからも 庇うように 栄太に抱かれている俺は 逞しい胸に 耳を押しあて心音を聞く 「僕だって馬鹿じゃない。分かってるぞ、詰まらない話をしたのは僕と義人を引き離すためだってことくらい」 大丈夫 言うように肩を抱く手に 力を込めて 「もう帰ったらどうだ。どうしても話をしたければ別の場所で、俺が相手をしてやる」 クールに 堀内の狂気を跳ね返す 栄太が格好いい 「不愉快だ。僕は義人が欲しいだけで、お前と話すことなどない」 「義人は俺のだ。今後一切の手出しを控えて貰おう」 俺も。 栄太は俺のだって 思っていい? 迷惑をかけてしまっても 嫌われないくらい 愛されてると 自信を持っていい、のかな 「勝手な所有権の主張は止めろ。誰よりも義人を知っているのは僕だ。僕と義人の相性がいいことも証明したばかりだ。さあ義人、こっちへ来い」 全身の筋肉を強ばらせた 栄太の腕に そっと手を添えて 「行かない。俺の居場所はここにしかないから」 首を傾げ 俺を映す黒目がちの瞳を 見つめて微笑んだ
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