幼なじみ 4

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振り返った栄太と一瞬 目が合ったような 気がした 俺の無事を確認するように スッと 俺の上を通り過ぎた視線 ああ、そうか 俺のためだ 俺を守るための挑発だ 「生意気なガキめ、悪く思うなよ!」 鉄パイプを構えた男が 動いた 突き出された鉄パイプを 脇に抱え ぶら下がる男ごと右へターン ゴツッ 人間同士のぶつかり合う音がして 鉄パイプだけが 栄太の元に残った その鉄パイプを手放し 蹴り飛ばせば 勢いをつけて 駆けてきていた男の足に絡み ズザザザー 砂埃を舞い上げ転ぶ 悔しいけど 俺は加勢にならない 助けを呼びに行こう サドルから 浮かせていた腰を下ろした 鼓動が激しく乱れる 自転車のハンドルを 掴まれていた 「やっと会えたね、義人」 バカだ、俺 どうして 周囲の警戒を怠ったりしたのか 「堀内・・・・・・」 近づいてくる堀内と トラックに 挟まれたら逃げられない 自転車から飛び降りて 逃げようとした俺の腕を 掴んだ指に力が籠もる 二の腕に食い込む指を 振り払おうと 腕を強く振ったのと 「ーーーッ」 頬に痛みが走ったのは同時
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