幼なじみ 4

12/26
前へ
/136ページ
次へ
ぞわっと 背筋が寒くなるような 酷薄で残忍な表情は 「無駄な時間を稼いでいたことに気付いた瞬間の、アイツの表情を見れないのが残念だよ」 島田を連想させる けど・・・・・・ コイツは栄太を知らない 栄太は奇跡というものを 信じないし 待ち焦がれない そんなものを期待して 無駄な時間を 過ごすことを面倒臭がるのが 栄太だ 空を振り仰げば くっきりとした輪郭の雲が 澄み切った空に浮いている 冴え渡る 栄太の才気のような雲だと 思った 「それにしても遅いな、何をやってるんだ」 言った堀内が後ろを見る 振り返った堀内は 肩を動かし胸を広げた 栄太と比べると 薄っぺらで貧弱な胸は 無防備に 肩を寄せた俺を受け入れる 「うぉぉぉお!」 うわ、イヤな感触 股間を蹴り上げた俺の太腿に 残る堀内の熱を 気にしてる場合じゃない 苦痛に呻き 股間を手で押さえた堀内は 憎悪に満ちた眼を 俺に向けたまま背後に手をやり 「俺から逃げられると思うなよ」 構えたのは拳銃の、玩具? 痛いのだろう 拳銃を持つ腕が危なっかしく 前後に揺れている 当たってもBB弾だ 手首をボールに見立て ボレーシュートを 決める気合いで右足を振り上げた
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加