幼なじみ 1

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「どうだね。分からない問題はないかい」 古典の授業中 教科担当の山田先生が 俺の肩に 手を置いて 課題ノートを覗き込んできた 「凝ってるな。揉んであげようか」 肩を揉むというより 撫で回しながら 二の腕へと下りてきた湿り気を 帯びた手は 俺の腕から離れない 汗が滲む 額を滑り落ちる汗だけでも 鬱陶しいのに 山田先生の掌が 張り付く二の腕に溜まる ねっとりした汗は 気持ち悪く 「あの・・・・・・手、暑いんですけど」 邪魔。 「あー、悪かったね」 山田先生の授業に 文句はないが 男子の体を触る頻度が 高い気がする 教室の巡回を再開した 山田先生を 振り返って確認してみれば 野々村の肩に触れていた 女子の肩を触れば セクハラ教師と詰られるしな 同性の肩を触ることで スキンシップをしてる つもりなのだろう そう判断して 目線を課題へ落とす 昼休憩のチャイムと同時に ガラリ 開いた後ろのドアから 「昼飯」 クラスの違う栄太が 弁当を手に 踏み込んできて 何だ。まだ居たのか って目で 山田先生を見据えた
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