幼なじみ 4

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「殴られたのか」 左の頬にそっと 触れた大きな手が震えてる 「平気だよ」 胸が痛い 俺を見下ろしていた栄太の 鬼の形相が 一気に崩れた 「平気じゃない。ぜんぜん、平気じゃねぇよ」 小さく叫んだ栄太を 背伸びして ギュッと抱きしめた ごめん、ごめん栄太 俺が栄太の無事を 願ったように栄太も 俺のことを 考えてくれてたんだよな いや、だけど 「栄太こそ気を付けろよ。目が覚めたら居ねえし、頭のおかしい連中の前に裸同然の無防備な姿で立つな」 均整のとれた魅力的な肉体に 栄太を囲んでいた連中が 欲情してないとは 言い切れない あー、なんか 遅ればせながら ムカついてきた 「そんな変態行為はしてねぇだろ」 耳元で響いた不本意そうな声 「はあ?」 何で、分からねーの 肩に埋まる栄太の頭から 背中へと 腕をずらせば 「じゃあコレは何。新しい服だとでも言うわけ?」 滲んだ汗と 熱く硬い背筋の感触が掌に 跳ね返ってくる う、ヤバい ドキドキしてきた 「ったく、撫でるなよ、俺を生殺しにする気か」 熱っぽい 押し殺した声で囁いた栄太の 胸に抱き込まると同時に 猛スピードで 近付いてきたパトカーが 公園の横の道路に停まった
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