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上体を起こす
たったそれだけのことが
困難だ
アスファルトについた手が
ぶるぶる震え
胸苦しさを感じるほどの
汗が吹き出してくる
ああ・・・・・・
これは・・・・・・アレだ
体内の水分を
惜しげもなく吐き出す体
潤いのない口内
軽い目眩は徐々に
吐き気を伴う目眩へと
変化してきた
目の前で回る
黒い渦が気持ち悪くて
アスファルトに突っ伏す
真夏の炎天下で道路に寝て
脱水症を伴う
熱中症を起こすとか笑えない
寒気がする
這ってでも人のいる場所へ
行かないと
そう思っても
激しくなる一方の目眩と
悪寒のせいで
気力が奪われていく
頭が重い
ガンガンするような
ボーッとするような重みは
睡魔を運んでくる
怖い・・・・・・
俺という存在が
このまま消えてしまいそうな
暗い淵の向こう側へ
吸い込まれるのは嫌だ
助けて
体の隅々まで力が抜けてしまい
声を出そうにも
渇いた喉はひっついて
命を繋ぐための僅かな息しか
通さない
『俺を呼べ! 一人で解決しようとするな。義人、俺を呼べ!』
呼べったって
自分がどこにいるのかも
分からないのに
来れるの? 栄太
クスッと笑えば
荒い息を吐き出す渇いた唇に
ピリリと痛みが走る
その痛みのおかげで
薄れかけていた意識が
覚醒した
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