幼なじみ 4

20/26
前へ
/136ページ
次へ
夢・・・・・・、か? 今、ここに 栄太が居たかのような 迫力のある映像を 夢だったと 切り捨てたりするには 現実的すぎた 夏空に舞う ホタル火ほどの可能性しか ないとしても 賭けてみたくなった 「・・・・・・え ・・・・・・ぃ た」 栄太の耳に 俺の声が届けられる奇跡を 信じていれば 近付く闇への恐怖に 抵抗する気力を 持ち続けていられそうな 気がした 息が、苦し・・・・・・い 体中が灼けるような 息苦しさに 身を捩らせれば今度は 疼痛に襲われる 俺の手を 遠慮がちに包み込む温もりは 栄太だと思った 届いた? 俺の声 そう聞きたかったけど 粘りつく唇は開こうとしない 名残惜しさを残し 睡魔への抵抗を諦めて 意識を沈めた どれくらいか経ったころ マスター・ヨーダが現れて 『栄太の将来を考えてやってくれ』 言いながら 俺の喉元へ手を伸ばし 圧迫してきた ああ、そうか 幼なじみに戻らないと いけないのだった 栄太への想いを 恋しさを 愛しさを どうすれば胸の奥深くへ 沈められるのだろう?
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加