幼なじみ 4

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寝てばかりの俺には 時間の感覚は分からない 《コンコン》 だけど 今が朝・昼・夕の どれかにあたるということを 教えてくれる人がいる 「火傷の調子はどうだ? 痛くないか」 (まあまあ、でも、少しだけ痛むかな) 炎天下のアスファルトで 低温火傷を負うとか 有り得ないよな 「水ぶくれは小さくなってきてるし、脚の浮腫もないようだ」 (迷惑かけてごめん、栄太) 壊れものに触れるように 俺の右手を 大きな手で包み込む栄太は 一本ずつ丁寧に 俺の指を曲げ伸ばしてから そっと撫でる 栄太の骨張った指の感触は 気持ちいい 椅子を動かし 立ち上がった栄太が急須の 蓋をあけた 「昨日は濃いすぎたから量を少なくしてみた。どうだろう、これでいいのかな」 (日々、挑戦だな。栄太) 猫舌の俺のため 熱を冷ました湯を注ぎ 茶葉が開かなかったり その反省を踏まえたのか 今度は 熱湯を注いだはいいけど 茶葉をいれすぎて 罰ゲームか! って味になってたりする 今日はどうだろう? 旨いお茶が飲めるといいな 「あれ? 色がない」 ぶはっ、もう
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