幼なじみ 4

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(茶葉が少なすぎ、もう少し足さなきゃ) すべてを完璧にこなしそうで 案外に不器用な栄太が 愛おしい いつ目を覚ましてもいいように 筋肉と関節の運動を 欠かさずしてくれる栄太に 何もしてあげられない 自分が情けなく 腹立たしくて悔しい 「義人、涙が出てる」 感情に連動した 涙を流すことはできるのに どうして 目を開けれないかな 指を動かせないかな 声を出せないかな 「義人・・・・・・」 柔らかなハンカチを 俺の目元にあて 確かめるように俺の指を 握った栄太の 温かな頬が頬に触れた 「義人? 俺の声、聞こえてるか、お前に、届いているか」 震える声で囁く栄太を (届いてるよ) 腕を動かして 抱き締めたいと強く 強く願った 「うぃーっす、邪魔みてぇだが、邪魔するぜ」 ノックもなしに 奏太が入ってきた チッ 小さく舌を打った栄太の 温もりが離れていく 「まーだ寝てやがんのか、コラッ、いい加減に起きろ」 ぐすっ 鼻を啜りながら怒るのは タカヒロだ 「こら、声がデカい。朝から騒いで悪いな」 コウジが苦笑混じりに タカヒロを注意したとき 《コンコン》 ドアがノックされた
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