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ああ、その通りだ
溢れ出る愛しさを
どう封じ込めればいいのか
分からない
頭がズキズキ痛む
何かに喉を圧迫される
栄太と
切り離される寂しさと恐怖で
心が壊れてしまいそうな
悲鳴をあげた
「非があるのは自分じゃないような言い方をしているが、そう考えるよう仕向けたのはアンタだ。洗脳しといて、吐く台詞じゃねえな」
俺の指を
繰り返しさする栄太の言葉が
コトン
俺の心を塞ぐ
暗闇の壁を動かした
揺らがない栄太の声
真っ直ぐに
俺を映し出す黒目がちの瞳
硬い指の皮膚から
軟らかく俺の心に染み込む愛情が
俺に安らぎ与えてくれる
「義人くんは普通の青年だ。大人になれば恋をするだろう、お前とは似ても似つかない女性に」
「だから何」
栄太には栄太の
俺には俺の仲間がいて
お互いを
束縛することなく遊んだあと
ーーー義人
嬉しそうに
にっこり笑った栄太が
俺の名を呼ぶ
夕焼け空に見守られ
繋いで帰る手は
少しずつ大きくなって
「俺は義人の大切な人ごと守る。それぐらいの覚悟で惚れてんだ、息子の恋愛にまで口を挟もうとするな、迷惑だ」
今も、ここにある
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