幼なじみ 5

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「嬉しい、最高のプレゼントだ」 胸に抱いた花束から 栄太に視線を戻し ハッとした 意志の強そうな すっきりした目元を縁取る隈は 浅黒い肌の下に 隠しきれていない ああ、何で 気づかなかったのだろう 俺が目覚めるように 一羽一羽 願いを込めて折られた鶴の花束を 抱く手が震える 「栄太、俺・・・・・・」 胸がいっぱいで言葉が続かない 濡れた睫毛を 瞬かせる俺を映す 黒目がちの瞳をやわらげた栄太が 「義人。戻って来てくれてありがとう」 両手を広げた 栄太・・・・・・ 微笑みかけてくる彼の胸へ 身を寄せた俺を 抱く腕は温かく優しい 「ただいま。栄太」 逞しい胸に頬を埋め 彼のシャツを溢れ出る 幸せの涙で濡らした 千羽は軽く超えてそうな 折り鶴の花束を 自分の部屋の壁一面に飾れば 栄太の愛情が目に見えて 胸がジンと熱くなる 「疲れてないか?」 ベッドに並んで腰掛け 栄太の腕に手を添えた俺は 彼の左肩に 頭を預けて首を振った 「ぜんぜん。いつ目覚めてもいいように一日に三回も、栄太がマッサージしてくれたお陰かな。関節は滑らかに動くし、気分も良い」 ただ一つの心配ごとは 減らした体重を 取り戻せるかってこと
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