目覚めると……

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目覚めると……

「もう一度説明してくれないか?」 健一は、まったく訳がわからないという顔で、庄吾に問い詰めた。 苦い沈黙が、部屋の中を支配する。 隅っこで立っている直樹も居心地が悪そうだ。 沈黙を破り、庄吾が口を開いた。 「わかった。健一、もう一度最初から言うぞ。おまえは1ヶ月前に交通事故にあったんだ。病院に搬送されたけど、ずっと意識が戻らずに昨日やっと目が覚めて……」 「いや、そこはいいんだ。その次に言ってたことだよ。」 もちろんその部分も聞きたかったが、今はそれよりも優先順位が高いことがある。そっちの方を先に解決して起きたかった。 庄吾も健一の意図を察した様子だった。 むしろ、わかっていながら、あえて避けようとしたのかもしれない。 嫌いな食べ物を後回しにしておいておこうとするように。 「わかった。その件だな。そうだな、そっちの方が先だな。」 自分に言い聞かせるような庄吾に、健一は、改めて言った。 「教えてくれ”デリート”について。」
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