気づけばそこは

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「せめて…せめて彼に一言を…」 「うーんまいったなー」 死神はペンで書きなぐっていたメモ帳の一部をビリビリと破る丸めて捨てた。 「!?今のは?」 「さぁ、知らない。ボカアなーんにもみていない」 すると突然、少女の目の前にドアが現れた。 「もしかして死神さん?」 「さ、早く行った行った、いつまでも持たないよ」 「ありがとうございます」 少女はお辞儀をしてそそくさとドアノブを握った。 「このご恩一生忘れません」 「もう一生は終えてるけどね、あ、それと…」 ガチャンと音が鳴ったと同時に死神はこう告げた。 「ウソさえつかなきゃ天国に行けたのにな」 「え?あ、…」 少女は何か言いたそうに声を出したが、ドアのむなしく閉まる音にかきけされた。
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