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自宅に戻った近藤は、大きく伸びをしてベッドに倒れるように寝転んだ。
やはり相方の分まで仕事を引き受けている今
ほとんどオフの時間などないに等しい
そんな中でも毎日見舞いに行くのは一つのけじめのようなものなのかもしれない
どうしてもう少し早くそして救急車で運ばれる前に気づけなかったのだろうか、その事だけが近藤の頭の中を駆け巡る
「そんなことも気付けないなんて」
相方失格やな、と天井を見つめて呟いた声は誰も聞くことなく響き渡るだけ
ふと封筒の事を思い出し、ポケットに乱雑に入れた封筒を取り出す
雑に入れてしまった事で少し皺になっていたが気にせずに封筒の中を確認した。
すると一枚の紙が入っており、綺麗に三つ折りになって入れられていた。
「なんやこれ……?」
封筒に入っていたのは契約書のような物でよく見ると上の方に[生命の契約書]と書かれていた。
裏も確認するが他に書かれている様子もなく、アホらしいとぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「明日マネージャーに言わなあかんな」
こんなときになんちゅう悪戯してくんねん。と少し苛立ちを覚えながら、日頃の疲れで眠気に襲われた近藤はそのまま目を閉じて眠りについた。
翌朝、結局半日近く眠ってしまった近藤は寝起き悪さに頭を抱えながら起きると携帯が点滅していることに気づく
もしかして、寝坊してしまいマネージャーから電話が掛かってきたのかと確認すれば、予想通りマネージャーから何回も着信が入っていた。
これはやってしまったかと焦って時計を確認したが、なんとマネージャーが迎えに来る二時間も前で寝坊どころか早く起きすぎていた。
それなのになんでこんなにマネージャーから電話がと疑問に思いながら、マネージャーに電話を掛け直すといつもならしばらく鳴らさないと出ないマネージャーがコール音二回で出て、凄く焦った様子で今どこにいますか?と尋ねてきた。
「なんやねんこんな時間に何回も電話してきよって……」
「良いですから今どこにいますか?」
「まだ家におるけど」
どうしてと聞き返す暇もない程間髪入れずに早く病院に向かってください。と告げられた。
マネージャーの態度に不信感を抱いていたが、マネージャーから告げられた事に近藤は思わず携帯を落としそうになる
すぐ行くと言って電話を切るとそのままにしていた荷物だけ手にして自宅を飛び出し、近くでタクシーを止めた。
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