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第5章 罪
「私…小野くんの共犯になるよ…」
小野くんから真相を聞いた後、思わず、彼の手を握って、伝えた。
前は、手が触れただけで、怖かったのに、今は、掴んでいないと、繊細なガラス細工の様に壊れてしまう気がしたー
「…!?…森本さん…なに言ってるの?犯罪だよ?…」
「…だって、小野くん、一人で穴掘るの…大変でしょ?」
私は小野くんに精一杯の笑顔を見せた。
「ダメだよ…君を巻き込めない…」
「私は大丈夫…一人より、二人の方が心強いでしょ」
小野くんはダメだって言ったけど、私は引き下がらなかった。
私は見かけによらず、頑固だと思う。
そしてー
『絶対に秘密にすること』
『小野くんの指示に従うこと』
『決して危ないことはしないこと』
を守ることを条件に手伝うことを許してくれた。
ー2週間後ー
小野くんから、明日の早朝に校庭に生首を埋めに行くと連絡がきた。
学校の校門の前で、『午前3時30分』に待ち合わせをした。
その日の夜は、眠れなかった。
ー午前3時05分ー
「そろそろ、家を出なきゃ…」
ベッドから起き上がって、玄関に行くと、犬のモモが、散歩に行くと勘違いして、シッポを振りながら、着いてくる。
『キャンッキャンッ』
「モモ…しっ…散歩に行くんじゃないの…」
『キャンッキャン』
「お母さんたち、起きちゃうでしょ…静かにして」
モモは鳴き止まないから、しかたなく、連れて行くことにした。
校門の前には、もう、小野くんの姿があった。
小野くんはモモを見て、驚いた様子だった。
「ごめんね。連れてけってきかなくて…」
「…かわいいね。森本さんの犬?」
「うん。モモって名前なの」
モモは小野くんに飛びついて、顔を舐めた。
「こらっ。くすぐったいよ」
モモが小野くんに懐いているのをみて、なんだか嬉しかった。
モモには、小野くんの優しさがわかるんだと思った。
モモをリードで校門につなぎ、私たちは塀を乗り越えて、校庭に入った。
「じゃあ、始めよっか…」
私は、家から持ってきた、スコップをだした。
足元を掘ろうとすると、小野くんに止められた。
「そこはダメ!!もう…前に掘った場所だから…」
一瞬、体が凍りついた。
そして、小野くんに指示された場所を掘り始めた。
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