第4章 ー真実ー小野康太から見た世界

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僕は小野康太。 小学2年生。 4人家族。 お父さん、お母さん、お兄ちゃんと暮らしている。 お兄ちゃんとは年が離れていて、19歳だ。 年が離れているからか、お兄ちゃんは小さい頃から、僕をとてもかわいがってくれる。 お母さんにダメだって、言われたゲームソフトもお年玉で買ってくれたり、大好きな玉子焼きも、いつも分けてくれる。 僕はそんなお兄ちゃんが大好きだ。 ーある日、僕たちの幸せは簡単に崩れ落ちたー 最近、お父さんとお母さんがケンカばかりしている。 夜、眠ったふりをして、階段でこっそり聞いていたら、お父さんが友達に騙されて、借金を背負わされたらしい。 お母さんは「これから、どうしたらいいの!!」と叫んで泣いているし、お兄ちゃんは「大学を辞めて、働く」と言っている。 ー胸が気持ち悪いー 3人のやりとりを聞いていると、どうしようもない不安が襲ってきて、気持ち悪くなった。 ーみんな、ケンカしていで…お願いだから… 最近は、怖い人が家にきたり、お母さんが大切に育てた花壇の花がぐちゃぐちゃにされることがある。 毎日、家族もケンカばかりで、どんよりした家に帰りたくなくて、学校が終わると近くの公園で時間を潰した。 お兄 ちゃんはそんな僕を見つけると、ハンバーガーを食べに連れってくれた。 ーハンバーガー店ー 「お兄ちゃん、僕たちの家族どうなるの?」 「…康太は何も心配しなくてもいいよ」 「でも、お父さんとお母さん、ケンカばかりしてるでしょ!!僕…知ってるんだ。お金がないんでしょ?」 「康太、誰からそんなこと聞いたんだ?」 「きかなくても、わかるよ。僕だって、子どもじゃないんだから」 「………」 「そうだな…康太はもう、大人だな。わかった。本当のことを話すよ。お父さん、友達に騙されて、借金があるんだ。だから、今住んでいる家を売らないといけない」 「…そうなんだ」 「僕も大学を辞めて、働くから。康太!大丈夫!家族で力を合わせれば乗り越えられるから!康太は何も心配しなくていいよ」 「うん!」 その日、久しぶりに安心して家のドアを開けると、お母さんが座り込んでいた。そして、お母さんからお父さんが亡くなったと聞かされた。
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