2人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「森本さんにお礼がしたかったんだ。いつも助けてくれているから。僕に出来ることなんて思いつかなくて…」
「お礼なんていいのに…じゃあ、一つお願いしてもいい?私、小野くんの絵が好きなんだ!モモの絵を描いてくれない?」
「絵…?」
「うん!小野くんが図工の時間に描いてた鳥の絵も夏休みの宿題の絵もすごく上手だった!小野くんって絵の才能あるよ!」
「そうかな…ありがとう…わかった。モモの絵を描くよ」
「ありがとう!約束ね!!」
私たちは、指切りをした。
パンを食べ終えた頃、今まで聞けなかったことをきりだした。
「お兄さんって、あいかわらず…なの?」
「…うん…」
「誰かに相談できないの?…親戚の人とか…?」
「…できないよ…親戚は居ないから…」
「…そうなんだ…」
「…3体目の生首が、親戚の叔母さんだった…」
「えっ?」
「借金があった頃、親戚は叔母さんだけだったから、お父さんとお母さんは何度も叔母さんにお金を貸してって頼みに行ったんだ。叔母さんは会社を経営してて、お金持ちだったから。でも、叔母さんは冷たくて、貸してくれなかったって…」
「…」
「お兄ちゃんは…最初は復讐のつもりだったんだと思う…1人目はお父さんを殺した借金取り…2人目はお父さんを騙した、お父さんの友達…3人目は助けてくれなかった叔母さん…最初は復讐のつもりだったのに、途中から、心が壊れてしまったんだと思う…」
小野くんは、涙を流した。
「今…お兄ちゃんが殺しているのは、知らない人の顔ばかりだけど…僕は悪いことをしていた人だったらいいなって思ってる…何も悪いことをしてない人を殺していたら、謝っても謝りきれないから…」
私は震えている小野くんの手を握った。
かける言葉が何も見つからなくて、ただ、手を握ることしかできなかったー
(ニュースや新聞で事件を見るたびに、小野くんは私なんかよりも、もっと、もっと、罪悪感を感じているんだろう…神さま…お願いだから…小野くんを助けてあげて…)
何もできない自分が悔しかった。
早く、大人になりたいと思った。
ー私が小野くんのために出来ることー
最初のコメントを投稿しよう!