3 冬の始まり

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家に着いてから親戚が珍しく話しかけてきた。 どうだったか、良い温泉だったろう、友達と行ったのか、いつ友達なんてできたんだ。 なんて矢継早に責め立てられて少し苦笑しながらも、後輩が帰郷しているとだけスマホに打って部屋に逃げた。 久々に他人と接した挙句、温泉に浸かったせいか疲れているのだろう、ベッドに横になると眠気はすぐにやってきた。 目を閉じると、ひまわり色が広がって、うへへという笑い声が聞こえる。 夢は見なかった。 ーーーーー 翌朝早くから、雪かきを手伝うよう起こされた。 夜中に大層降ったようで、一面銀世界。 一緒に雪かきをしていた同僚が雪だるまを作って得意気にしていた。 なんとなくスマホで写真を撮り、なんとなくヒュウガに送る。 返事はすぐきた。 『すごい雪ですよね!うちも雪だるま作ろうかなあ』 自然と口元が緩む。 2度目の冬が、始まった。
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