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4 過去の記憶
温泉に行った日から数日置きにヒュウガからは連絡がきていた。
互いの近況だったり、今はまってるドラマだの映画だのだったりと他愛もない話だ。
あれからバンドについても、おれの声についても話題は浮上せずに少し安堵している自分がいた。
同時に、何かを変えたいと思ってヒュウガの誘いに乗ったのかもしれないあの時の気持ちが薄れていきそうで、焦りも感じていたのだった。
このままでいいはずない、そう理解しているのは誰よりも自分だ。
だからといって、1年半、ずっと声は出ないまま。
他のバンドで演奏している元メンバーを見たり、違うバンドの奴らを見たくなくてテレビも点けられない。
そんな弱いままだ。
「考え込む癖、変わりませんよね」
ヒュウガの言葉を頭の中で反芻する。
言われてみれば、昔からひとりで考えてばかりで、誰かに相談することも少なかった。
なんでもかんでもひとりで勝手に答え出しやがって、そうよく言われていた。
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