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秋も終わりに近づき、本格的な寒さが訪れていた。
吹き付ける冷たい風に身震いしながら空を仰ぐ。
いい天気だ。
雲一つない空。
塗装屋の親戚が住まうこの田舎は晴天率が高いのだと聞いた。
「おーい、手ぇ動かせよ~!」
脚立の下から休憩中の同僚に声をかけられ、はっと我に返った。
ごめん、と出来る限り申し訳なさそうな表情を作りながら片手を振る。
そうして作業を再開した。
ペタリ、ペタリ。
民家の壁にペンキを塗っていく。
親戚に世話になり始めてからちょうど1年が経過しようとしている。
2度目の冬が、もうじきに訪れようとしていた。
おれの声が出なくなって、1年と半分が過ぎたのだ。
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