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〇 山小屋 夕方 夏
受付に、遠藤(65)、やってくる文夏と正明と数名。
遠藤 「個室ですね、夕飯はすぐに?」
文夏 「お願いします」
正明 「・・そうだよ!、みんな一緒だよ!」
と、後ろの男と話す、ざわめく一行。
文夏 「どうした?」
正明 「こいつらが、個室って一人一部屋じゃないかって!」
うなずく一行。
文夏 「後で、ゆっくり話を聞くか・・」
一行をふり見て文夏。
後輩A 「先輩・・別荘に行くみたいなものだって・・ハード
すぎます・」
背を丸め、息を切らす。
文夏 「別荘だよ!なぁ正明?」
正明の眼に同意の視線。
正明 「そうだよ、家と同じ」
文夏 「俺達には、帰る場所がある、そして家族がいる・・
だろ(ニヤリ)」
遠藤 「・・・どうぞ」
手のひらで合図して、入室を促す。
文夏 「(うなずき)行こう」
正明 「(大声で)ただいま!」
後輩A 「(真似して)帰りましたぁ!」
〇 同 食堂 夜
食事をする文夏、国広、後輩たち他数名の客。
後輩B 「森林限界過ぎた辺りから、ヤバイぞと・・」
後輩A 「俺も、けもの道に迷い込んだアリスの気分だよ」
天を仰ぐ。
文夏 「ペンキ印に導かれなきゃ、俺らの行く水は・・」
正明 「分水嶺に立って、ションベンするなら、バラバラだ」
不機嫌に皿を片付け始める礼子(54)。
礼子 「次のお客さんが待ってますので、そろそろ・・」
文夏 「ソーリー・・みんな行くぞ」
椅子を引き立つ。
正明 「ごちそうさま・・」
後輩A 「朝何時?」
後輩B 「ご来光見えますかね?」
コソコソと退席する一行。
〇 山小屋前 翌早朝
薄暗い空、稜線にスカイライン。
歩き出す文夏一行を見送る従業員達、その中に
和佐(20)。ジーンズにトレーナー、長い髪を束ねている。
何も動物の声さえしない、ただ、歩く文夏らの石を踏む
音を残している。
遠藤 「また来るかな、奴ら・・」
腕を組み、睨みつける。
礼子 「帰ってくるでしょ、ここが好きなら」
小さく手を振り。
和佐 「晴れだぁ!・・うん!ここなら宇宙に一生懸命モールス
信号送ってみたくなるね!」
礼子 「・・モールス?」
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