2人が本棚に入れています
本棚に追加
茂木 「和佐ちゃん、こいつら金持ちの息子なんだって、だから」
正明 「金と暇はある・・でしょ」
文夏 「知り合って損はない・・でしょ」
和佐 「・・・通ります」
器用な姿勢で出ていく。
正明 「ほら・・哀れみの眼差!」
茂木 「新人をおかずにしないでくれ、鍋で良いかい?」
通しを並べながら。
文夏 「と、ビアーで」
見回し一行に同意を求める。
〇 大学 キャンパス
キャンパスを歩く文夏。
緑の針葉樹と羽毛を奪われた広葉樹、石畳道に落ち着かず
顔をニワトリにして歩く文夏。
文夏のスマホが鳴る。
文夏 「?誰・・はい!」
スマホの画面に目を据え、タッチする。
和佐の声「もしもし・・、すいません、文夏さんですよね」
文夏 「えっ、そうですが」
和佐の声「昨夜、私お釣りを間違えて・・」
文夏 「あっ!そんなの今度店に行ったときで良かったのに」
和佐の声「一応、謝っておかないと・・」
文夏 「誤ったんで、謝っておくて・・」
和佐の声「ダジャレ!・・フフ」
〇 居酒屋の側 公園ベンチ 夕方
ベンチに座る、和佐と文夏。重い雲、葉の無い枝先に残さ
れた枯葉。和佐は大人メイク、ガーリー系のファッション。
文夏 「何で、俺の番号?」
和佐 「いつか女の子に渡したでしょ、箸袋に書いて・・」
文夏の眼を一瞬見て、帰る子供に目をやる。
文夏 「いや、それはナンパとかじゃなくて」
和佐 「言い訳は良いんです・・」
文夏 「誤解されると困るな・・俺そんなナンパな奴では
なくて・・」
和佐 「それは・・信じられないな、だってこの状況・・」
文夏 「それは・・運命!、だよね、そう思わない?」
和佐の顔を覗くと、唇を軽く噛む和佐の口元。
和佐 「思いません!・・じゃ私、居酒屋に行くんで」
手を振って行ってしまう和佐。
文夏 「さよなら・・番号ゲットだぜ!」
手を振り、その手を天に突きつける、空を掴もうとして。
〇 路上 交差点 日替わり
黄色い車が交差点を曲がろうとした時、走ってきた自転車
とぶつかりそうになる、倒れる自転車、運転席から飛び出す
正明。
正明 「大丈夫ですか?」
自転車をよけて、かろうじて立つ和佐。
XXX
最初のコメントを投稿しよう!