EP1  天空

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茂木  「和佐ちゃん、こいつら金持ちの息子なんだって、だから」 正明  「金と暇はある・・でしょ」 文夏  「知り合って損はない・・でしょ」 和佐  「・・・通ります」     器用な姿勢で出ていく。 正明  「ほら・・哀れみの眼差!」 茂木  「新人をおかずにしないでくれ、鍋で良いかい?」     通しを並べながら。 文夏  「と、ビアーで」     見回し一行に同意を求める。 〇 大学 キャンパス     キャンパスを歩く文夏。     緑の針葉樹と羽毛を奪われた広葉樹、石畳道に落ち着かず    顔をニワトリにして歩く文夏。     文夏のスマホが鳴る。 文夏  「?誰・・はい!」     スマホの画面に目を据え、タッチする。 和佐の声「もしもし・・、すいません、文夏さんですよね」 文夏  「えっ、そうですが」 和佐の声「昨夜、私お釣りを間違えて・・」 文夏  「あっ!そんなの今度店に行ったときで良かったのに」 和佐の声「一応、謝っておかないと・・」 文夏  「誤ったんで、謝っておくて・・」 和佐の声「ダジャレ!・・フフ」 〇 居酒屋の側 公園ベンチ 夕方     ベンチに座る、和佐と文夏。重い雲、葉の無い枝先に残さ    れた枯葉。和佐は大人メイク、ガーリー系のファッション。 文夏  「何で、俺の番号?」 和佐  「いつか女の子に渡したでしょ、箸袋に書いて・・」     文夏の眼を一瞬見て、帰る子供に目をやる。 文夏  「いや、それはナンパとかじゃなくて」 和佐  「言い訳は良いんです・・」 文夏  「誤解されると困るな・・俺そんなナンパな奴では     なくて・・」 和佐  「それは・・信じられないな、だってこの状況・・」 文夏  「それは・・運命!、だよね、そう思わない?」     和佐の顔を覗くと、唇を軽く噛む和佐の口元。 和佐  「思いません!・・じゃ私、居酒屋に行くんで」     手を振って行ってしまう和佐。 文夏  「さよなら・・番号ゲットだぜ!」     手を振り、その手を天に突きつける、空を掴もうとして。 〇 路上 交差点 日替わり     黄色い車が交差点を曲がろうとした時、走ってきた自転車    とぶつかりそうになる、倒れる自転車、運転席から飛び出す    正明。 正明  「大丈夫ですか?」     自転車をよけて、かろうじて立つ和佐。      XXX
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