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「まさか君と結ばれることになるなんて。思ってもなかったよ」
「同意だね、まったく」
太陽は上機嫌のようだ。針葉樹の隙間から差し込む陽光が祝福していた。光木と父親が再開したあの日からしばらくして、僕と光木は籍を入れることに決まった。
上司に報告すると、とっくに前からそうなることを予見していたのか、必然的事情であるようなスムーズな手続きの進行に二人で目を丸くした。
いや、今日からは光木ではなくなるのか。
白いウェディングドレスをまとった彼女は、今まで見た何よりも美しかった、という感想では月並みかもしれない。羞月閉花、花も恥じらい、その月すらも隠れてしまうと思えるのは僕だけなのかもしれない。
それでも十分だろう。僕にとって十分なら。
来賓席には、僕の母親、光木の母親、再婚相手、そして父親もいた。
もしかしたら、あの時の猫もいるのかもしれない。今では随分と大きくなっただろう。
ガーデンプランニングというのは屋外で結婚式を挙げるという西洋ではよく見かける形式だ。
今回、伝統的挙式を無視し、それを選んだのは理由があった。
結婚式は終盤にさしかかっていた。
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