萬『八百屋』

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…あれはちょっと怖かった。 でも箱を開けて、俺は更にはっぴゃくやが本物なのだと確信した。 一夜開けて朝。俺の願いが叶ったようで、俺は誰が誰に想いを寄せているか分かるようになった。大学ですれ違う人達全ての小指には、赤い糸が伸びていた。 その糸は人によって様々で、細い絹糸の様な糸からモコモコした毛糸みたいなやつ。革紐みたいに艶の有るものやビーズが絡んでキラキラしたもの。それらは全て赤いんだけど、それぞれ想い人の方へヒラヒラと舞っていた。 そしてカップルや両想いの糸はどうやら繋がっていて、その赤はより一層鮮やかだった。 (ヤバイ…こんな現象、自分が何者かにでもなったみたいだw) 自分の糸は指の根本で結ばれ、大学の構内にユラユラと靡いていた。 てことはタケ、もう来てるんだ。 スマホを見ると、タケから20分前に「今日2限からだったの忘れてた」「ヨシ早く来て~」とメッセージが来ていた。 赤い糸に気をとられスギだ俺! 俺はいつも暇潰しに使っている空き教室に、ポケットに手を突っ込んで急いで向かった。
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