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「ヨシ、『はっぴゃくや』って知ってる?」
腹へったな~、の俺の問いになんの脈絡もなくそう切り返してきたのは同じ大学の同級生、タケだ。
「…知らね。ナニソレ。」
まるで無視でもされたように感じて俺がムスッとしたにも関わらず、タケはニコニコと機嫌が良さそうだった。
「都市伝説だよ!駅裏の飲み屋街あるじゃん?そこのどっかの路地裏に『はっぴゃくや』って言う店があるんだって。」
「…やおや、じゃなくて?」
「やおや?…あぁ!八百屋!!イヤやおやじゃねぇよ!『はっぴゃくや』!」
タケは俺より少し高い背を曲げて顔を近づけながら言った。
「近っ!!知らねぇって!!」
近付きすぎたタケの顔を手の平で半ば叩きながら遠ざけると、タケは「いてっw」と言いながら背を戻した。
「んで、その『はっぴゃくや』には、自分が今一番欲しいものが売ってるんだって。」
「へぇ~、なに、なんか欲しいの?」
「うん!!」
せっかく戻した背をまた曲げて、タケは顔を近付けたので俺は素早くタケの顔を手の平でガードした。
「ヨシひでぇw」
「いやタケがちけぇからw」
「で、今日飲みに行かね?」
「は!?お前行く気?!はっぴゃくやに?」
「うん!!」
なんとタケはその都市伝説を信じているらしい。
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