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「ここはお前たちお客が今一番欲しいものが買える店だ。だけど買えるのはひとつだけ。一番ってのはひとつしかニャイから一番って言うのさ。そうだろう?」
最近のお客は欲張りで困ると店主は愚痴をこぼしながら言った。
店内は桐でできた高そうな箪笥や棚があって、勝手に見ていいものかと気が引けてしまう。キョロキョロと店内を見回していると、店主が突然言った。
「13,061円。」
「……え?」
「ソレは13,061円だニャ。」
気付くと、俺の手には小さなケースが握られていた。中学の時に使っていた筆箱みたいな大きさの箱だ。
「は?いつの間に。」
「だからここはそういう店だって言ったじゃニャイか。ニャルほどニャルほど…ソレがお客が今一番欲しかったものか。要るのか?それとも…要らニャイのか?」
状況把握もままならないうちに迫られた選択。
今までニコニコと笑っていた癖に要らニャイのかと聞いてきた店主は細かった目をカッと見開きにやけた口からペロリと赤い舌を回した。
選択と言うより脅迫だ。
「い、要ります要ります!」
慌てて財布を開けると中にはピッタリ13,061円入っていて、小柄な店主の小さな手に代金を乗せると、店主は目を細めた。
「毎度有り♪」
やはりここは怖い所かもしれない。そもそも都市伝説って怖いのが大半じゃないか?いくら酔ってたからって危機感無さすぎだろ俺!
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