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店主の目に寒気を感じた俺は、早々に店を出ようと出口に向かった。すると、いつの間にか番台に戻った店主が言った。
「そうそう、ソレは確かにお客が欲しがったものに間違いニャイが、必ずしもお客の思い通りに使えるとは限らニャイ。」
「……え?」
「お前がこの店を見つけたように、他にもこの店を見つけた奴がいて、ソイツがお前と反対の事を考えていたらどうする?」
え…13,061円も払って俺はボッタクラレタ?まさかそっちの意味でも怖い所だったのか?
俺が顔色を悪くすると、店主はニマッと笑って言った。
「違う違う、それは代金に見合った代物だ。しかしよく考えてみろ。確率は限りなく低いが無い事ではニャイだろう?」
そんなこと、あるか?限りなくゼロに近い気がするが…。
"確率は限りなく低いが、無いことでは無い"…。
「まぁ元からクレームは受け付ける気はニャイが、思い通りにならないと腹いせに有ること無いことを吹聴する輩もいるもんでニャ。そうなると我輩の営業妨害になるからニャ♪気に入ったらお前も人に話してくれ。それが商売繁盛の一歩目だ♪またニャ。」
そう店主がいうと、障子戸にかけた手がぼやけていった。いや、手だけじゃない。頭に霞がかかったように視界は薄く消えて行き、歩いているのに浮いているような不思議な感覚に襲われた。
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