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「ただ長くいても意味のないことだっ!──」
グレイに問われた言葉にモーリスは拳を握り締め歯を食い縛りながら吐き捨てるように訴えた。
グレイはふっと笑う。
「よかろう──…名残りの惜しみもないのなら潔くもあろう…ではここにお前の名を記せ──」
グレイはマジックのように指先を操ると黒い羽根のペンを取り出した。
グレイがピッと指で挟んで突き出した土地の権利書を受け取ると、モーリスはそれに手を添えて自分の名前を書き記す。
グレイは書ききったモーリスの手をとると親指に羽根のペンの尖端で傷を付けていた。
モーリスの指から噴き出す小さな血の雫が大きくなっていく──
グレイはその手を取ると権利書に押しけて拇印をとっていた。
「これで全て俺の所有物となる──」
ニヤリと口角を上げて手にした権利書を見せびらかすとグレイは短く何かを唱え始めていた。
「……っ!?…」
シュボッといきなり権利書の端に火がつく──
モーリスは驚いてグレイから距離をおいていた…
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