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執事はふっと微かに視線をその手に向ける。
「何か欲しい物でもあるだろうか?お前は聞いたことがあるか?」
「リモーネの欲しい物でございますか?」
「ああ…」
モーリスは頷きながら淹れたてのお茶を口に流した──
「──…ウグッっ!…」
テーブルに突然伏せたモーリスの手からカップが転がる。苦し気に喉を掻きむしるとモーリスは椅子から崩れ落ちた──
「…っ…お前、は…何を…っ…」
「リモーネの欲しい物をお教え致しましょうか?旦那様──」
「──…っ…グッ」
執事は床にうつ伏せたモーリスを足でひっくり返す。仰向けになったモーリスの口からは赤い血が溢れていた──
「や…めろっ…」
執事に上着の胸元の中を探られながら声を必死で上げて抵抗する──
「旦那様──…リモーネが欲しいのは…」
執事は手にした鍵を見せつけた。
「この鍵の引き出しにしまわれた、土地の権利書でございます──」
執事はそう答え、ニヤリと笑った──
「……!?……リモーネもっグルだったんだなっ…」
自分で喉を鷲掴み声を絞りながら執事を睨み付ける。
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