12章 主従の契約(後編)

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・ 執事はふっと微かに視線をその手に向ける。 「何か欲しい物でもあるだろうか?お前は聞いたことがあるか?」 「リモーネの欲しい物でございますか?」 「ああ…」 モーリスは頷きながら淹れたてのお茶を口に流した── 「──…ウグッっ!…」 テーブルに突然伏せたモーリスの手からカップが転がる。苦し気に喉を掻きむしるとモーリスは椅子から崩れ落ちた── 「…っ…お前、は…何を…っ…」 「リモーネの欲しい物をお教え致しましょうか?旦那様──」 「──…っ…グッ」 執事は床にうつ伏せたモーリスを足でひっくり返す。仰向けになったモーリスの口からは赤い血が溢れていた── 「や…めろっ…」 執事に上着の胸元の中を探られながら声を必死で上げて抵抗する── 「旦那様──…リモーネが欲しいのは…」 執事は手にした鍵を見せつけた。 「この鍵の引き出しにしまわれた、土地の権利書でございます──」 執事はそう答え、ニヤリと笑った── 「……!?……リモーネもっグルだったんだなっ…」 自分で喉を鷲掴み声を絞りながら執事を睨み付ける。
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