1・パーティーメンバーは問題あり?

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 森の奥へと進んで行くと、急に拓けた場所に出た。  そこには一本の木が生えており、青々とした葉が風に揺れている。  アレスは手にした絵と、その葉っぱを見比べてみる。特徴のある、先が5つに別れた形。「カネツラの葉」だ。 「あったぞ。これだ」  アレスは革袋から油紙を取り出すと、枝から葉っぱを10枚摘み取り、丁寧に油紙に包んだ。 「よし、これでいいぞ。街へ戻ろう」  アレスが意気揚々と振り返ると、 「シッ! 静かに」  リディアが声をひそめる。 「な、何だよ?」 「何か来る」  そう言うと、リディアは腰に下げた細身の剣を抜き放った。  近くの草木が揺れ、茶色い物体が躍り出る。それは、中型犬くらいの大きさのネズミ「マットラット」だ。  長い尻尾に鋭い前歯。つり上がった目は、真っ直ぐ獲物に向けられている。 「三匹ですか。しかし、油断は出来ませんね」  セオは手にした槍を構えた。 「ほっほっほ、丸焼きにしたら美味いかのう?」  ドーハンも、樫の木で出来た杖を両手に持ち直す。 (食うのかよ……)  アレスは心の中でツッコミながら、自分も剣を構えた。  まず、リディアが動いた。  一番左端にいるマットラットに斬りかかる。  マットラットは後方に飛び退き、攻撃をかわす。と、その隣にいたマットラットがリディアに飛び掛かった。 「リディア!」  アレスは思わず叫んでいた。  次の瞬間、リディアの剣が一閃する。 「グギャー!」  腹を切り裂かれたマットラットは、どす黒い血を流しながら地面に倒れると、やがて煙となって消えていった。 (す、すげえ……。さすがリディア!)  アレスは感嘆の面持ちでリディアを見た。
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