1・パーティーメンバーは問題あり?

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 アレスがリディアに会ったのは、街の食堂で食事をしている時だった。  店は昼食をとる客でごった返していて、どのテーブルも埋まっていた。  そんな時、一人の男が店に入ってくる。  スキンヘッドに強面の顔。筋骨たくましい大男に、店の中にいた客は一瞬食べる手を止めた。 「い、いらっしゃいませ。お客様。只今混んでおりまして、もう少しお待ち頂けますか?」  奥から出てきた店主が、大男に頭を下げる。 「ああ? この店は、客に飯を出さねえってか?」  大男は店主を睨み付けた。 「いえ、ですから……。混んでいまして、お席に案内することが出来ないのです」  店主も困ったように、大男に説明する。  だが、大男は「はっ!」と笑うと、 「席がねえなら、空けりゃあいいだろう!」  と言って、客の顔を物色し始めた。  気まずそうに視線をそらす客を嘲笑うかのように、大男は大股でゆっくりと店内を歩きまわる。  そして、スプーンを握りしめたままボンヤリ見ていたアレスと視線がぶつかった。 「!」  アレスの顔が強張る。  大男はニヤリと嫌な笑みを浮かべた。 「おい、そこのお前。俺様の為に席を空けろ」 「え……」  余りにも急すぎて、アレスは動けないでいる。  すると大男は、さらに近付いてきて言った。 「おい、俺様の声が聞こえなかったのか?」 「な、何で退かなきゃいけないんだ。まだ、食べてる最中……ぐあっ!」  アレスは大男に胸ぐらを掴まれてしまった。 「く、苦し……」 「貴様が退かないからだろ。初めから大人しく従ってりゃいいんだよ!」  と言うと、大男はアレスの体を壁に叩きつけた。 「ぐっ……」  ぶつかった衝撃で息が詰まる。  そのまま床に突っ伏したアレスは、涙目になりながら大男を見上げた。 「なんだ、まだ何か言いたそうだな?」  大男が近付いてくる。と、 「やめなさいよ」  一人の女が立ち上がった。  金髪ブロンドに黄緑色の瞳。手足が剥き出しの革鎧からは、白い腕と脚がしなやかに伸びている。
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