1・パーティーメンバーは問題あり?

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「なんだ、女。俺様とやろうってのか?」  大男は怒気を含んだ声で言った。  しかし、女は怯んだ様子もなく、フフッと笑う。 「だから単細胞はイヤなのよ。なんでも暴力に訴えようとして。まあ、脳ミソまで筋肉で出来てるようなアンタには、それしか思いつかないんでしょうけど」 「な、なんだと!?」 「あら、図星だった?」 (こ、この女、ひどすぎる……)  アレスがそう思い始めた時、 「こ、このアマ~!」  怒りが頂点に達した大男が、女に向かって殴りかかった。 「わっ!」  アレスは思わず目をおおった。だが、直後に「おおっ!」と喚声が上がる。  そっと目を開けると、そこには、床に倒れた大男の鼻先に剣を向ける女の姿があった。 「えっ?」  アレスには何が起きたか分からなかったのだが、目をおおっている間に大立ち回りが展開されていたようだ。 「や、やめろ。店は出ていく! 謝るから……」  大男は女に懇願した。が、女は不敵な笑みをもらすと言った。 「それだけじゃ、みんなの気がすまないのよ」  そして、持っていた剣を閃かせる。  女が剣を収めたとき、大男の服は切り裂かれ、下着姿のあられもない格好になっていた。 「ひっ、ひいぃー!」  大男は顔に似合わぬ悲鳴を上げながら、店の外へと走り去っていった。 「うおぉぉー!」  店内にいた客達は大いに盛り上がり、大男を追い払った女に称賛の声をかける。  女はそれに答えながら、突っ伏したままのアレスの顔を覗き込んだ。 「大丈夫?」 「あ、ああ」 「災難だったわね。でも、どうしてそれを使わなかったの?」  そう言って、ようやく起き上がったアレスの腰元にある剣を指差す。 「だって、勝てっこなかったし……。それに、こんな所で振り回したら、他の客に迷惑だろ?」  アレスの言葉にハッとしたような表情をすると、女は口許に笑みを浮かべて言った。 「ふうん。さっきの筋肉バカよりは、使える頭があるってことね」 「ど、どういう意味だよ?」  アレスの質問には答えずフフッと笑うと、女は店の出口に向かった。 「あ、ちょっと待って!」 「何?」 「さっきは、助けてくれてありがとう」  アレスは丁寧に頭を下げた。 「律儀ねえ。ま、嫌いじゃないけど。あんた、名前は?」 「えっ? ア、アレス」 「そう、私はリディア。冒険者同士、よろしくね」
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