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リディアはスラッと剣を抜き放つ。
「ジジイ、死にたいようね」
剣を突き付けられ、さすがのドーハンも怯んだらしく、「ヘラっ」と愛想笑いを浮かべた。
「やあ……、ちょっとした挨拶代わりじゃよ」
しかし、その発言がさらにリディアを怒らせた。
「挨拶代わり? そう。じゃあ私の挨拶代わりも、受け取ってもらおうかしら……ね!」
リディアが勢いよく剣を降り下ろす。
だが、ドーハンは老人とは思えぬ素早い動きで避けると、店の出口に逃げていった。
「待ちなさい!」
リディアが後を追いかける。
アレスは、セオと二人で店に取り残されてしまった。
「まったく、なんて人達を仲間に入れたんです」
セオが深く大きな溜め息をつく。
「し、仕方ないだろ。成り行きだったんだから」
アレスは子供のように口を尖らせた。
そんなアレスを見て、セオはまたふうっと息を吐く。
「私が人選をすれば良かったかもしれませんね」
そんなふうに言ってはくれたが、アレスは「でも」と思う。
セオのことだから、規律正しく真面目な人間を選ぶに違いない。
(これ以上、堅苦しいのもごめんだな)
アレスはセオに気付かれないように、そっと舌を出すのだった。
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