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2・幼なじみたち
ルコダの街に戻ってきた一行は、まず依頼主である薬屋に立ち寄ることにした。
薬屋は街の城門を入ってすぐのところにあり、レンガ造りの建物に、薬瓶を模した金属製の看板が入り口の所に付いている。
アレスが扉を開けると、真正面にあるカウンターから小太りの男が顔を出した。
「いらっしゃいませ」
「えっと、この間の依頼の件で来たんですが……」
「ああ、この前の……。おい、お前!」
男がカウンター奥の扉に向かって呼び掛けると、ややあって「はい、はい」と言いながらエプロン姿の女性が現れた。
「ああ、アレスさんね。どう? カネツラの葉は見つかったかしら?」
「あ、はい。ここに」
アレスは、革袋から葉っぱを包んである油紙を取り出すと、それをエプロン女性に手渡した。
そう。実は、薬屋の店主はこちらの女性の方で、さっきカウンターにいたのは、婿養子にきた夫。
時々店番をしながら、仕事を覚えている最中らしい。
女店主はアレスから受け取った包みを開き、中の葉っぱを確認し始めた。
アレスはその様子を緊張の面持ちで待つ――。
「うん、間違いないわね。カネツラの葉よ」
「良かった~」
安心したアレスは「ふう」と息を吐き、ようやく笑みをもらす。
「私が描いた絵で、ちゃんと分かったかしら?」
「あ、はい。大丈夫でした」
「そう。なら良かったわ」
女店主は1度奥に引き込むと、銀貨の入った麻袋を手にして戻ってきた。
「じゃあ、これが約束の報酬ね」
「ありがとうございます!」
「また何かあったら、よろしくね」
「はい!」
アレスは頭を下げると、麻袋を手に店を出た。
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