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店の外では、心配そうな顔をした3人が待っていて、アレスが出てくると一斉に注目をした。
「だ、大丈夫だよ。ほら、報酬もちゃんと貰ったし」
アレスは3人の視線に一瞬たじろいだが、手にした麻袋を「ほらっ」と持ち上げた。
「おおっ、金じゃあ!」
さっそく目を輝かせたドーハンが、麻袋に手を伸ばそうとする。が、横からすっと出てきた手がアレスの手元から先に取り上げた。
「な、何をするんじゃ!」
麻袋を取ったのはセオだった。
「これは宿に戻ってから厳正に振り分けます。それまでは、私が預かっておきますから」
静かだが、有無を言わせないような口調でそう言った。
「フン、堅物が……。やってられんわい! 酒でも飲んでくる!」
「まだ昼間だぞ?」
アレスはそうたしなめたが、ドーハンは聞こえない振りをしてスタスタと去っていく。
「ふう、仕方ありませんね。しばらく自由行動にしましょう。お二人はどうされますか?」
セオが二人に聞いた。
「私は宿に戻るわ。体も洗いたいし」
「そうですか。アレスは?」
「俺? そうだな……。ちょっと散歩してくるよ」
「分かりました。日暮れまでには戻ってくださいね」
「うん。分かったよ」
アレスは店の前で別れると、中央広場に向かって歩き出した。
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