2・幼なじみたち

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 広場の中央には噴水があり、日の光にキラキラ煌めきながら流れている。  アレスは噴水につながる階段の所に腰を下ろすと、ふうと息を吐き出した。 (よし、今回も無事達成だ!)  心の中で小さくガッツポーズをすると、さっきの女店主の顔を思い出す。  誰かの喜んだ顔が見られるのは嬉しいし、感謝されるのはやっぱり気分がいい。  次の仕事はどうしようかなどと考えていると、 「アレス?」  ふいに声をかけられた。  アレスが顔を上げると、そこには懐かしい顔があった。  赤毛のくるくるした髪に、そばかすが残るその顔。 「キット?」 「やっぱりアレスだ。久しぶりだな」  キットと呼ばれた青年は、アレスに向かってニカッと笑った。  キットは、アレスと同じ村の出身で幼なじみ。小さい頃から仲が良く、アレスが勇者として旅に出るときも見送りに来てくれていた。 「それにしても、こんな所でどうしたんだよ?」 「父さんの使いだよ。俺もいずれ、店を継ぐことになるからな」  キットの家は、村で雑貨屋を営んでいる。  子供の頃こそ、同じ剣術道場に通ってはいたが、いずれはこうなることは分かっていたのだろう。 「で? お前はどうなんだよ? ちゃんと勇者やってんのか?」 「まあ、ぼちぼち……かな?」 「はあ? なんだよそれ。煮え切らない答えだな」  キットは背負っていたリュックを下ろすと、アレスの隣にどっかと座った。  日に焼けたような、懐かしい田舎の匂いがふわりと漂ってくる。 「し、仕方ないだろ。まだ、村を出てから2月しか経ってないんだぞ」 「それもそっか」 『ハハハ……!』  二人は顔を見合わせて笑いあった。 「でもさ」  キットが正面に向き直って言う。 「俺もドイルも、お前に期待してんだぜ」 「うん……」  アレスは小さく頷いた。
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