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御年72歳の老魔導師。
アレスが酒場で仲間募集の貼り紙をしている時に出会ったのだが、その時も若いシスターにちょっかいを出していた。
シスターは嫌がって「やめてくだい!」と訴えるのだが、ドーハンは益々体を密着させていく。
(まったく、いい歳してよくやるよ)
そんなドーハンを冷ややかに見ていたアレスだったが、悲鳴を上げて逃げるシスターを見て、さすがに助けてやらねばと思い始めた。
(よし、ここでカッコいいところを見せれば、あのシスターを仲間に出来るかもしれない)
そんな下心も働いて、アレスはシスターを助けようとドーハンに近付く。
「おい、やめろ――」
「いい加減にしないか!」
あと数歩と言うところで、アレスとドーハンの間に一人の男が立ちはだかった。背の高い、戦士風の男だ。
「なんじゃ、お前さんは?」
「彼女の仲間ですよ。それ以上彼女を傷付けるというなら、私にも考えがありますよ」
男は静かな口調で言った。
「レオン!」
シスターが男に抱きつく。
「マリア、もう大丈夫だよ」
男は彼女を抱き止め、優しく微笑んだ。
(おい、おい。なんだよこれ……)
アレスは呆然とその光景を眺めるしかなかった。
「なんじゃ、男付きか。興が冷めたわ」
ドーハンはそう言うと、とぼとぼと店の出入口に向かって歩き始める。
アレスがその姿を追っていると、クルッとこちらを振り返り一瞬目が合った。
「お前さんも残念じゃったな」
そう言ってニヤリと笑う。
(このジジイ、俺が助けようとしてたの気付いてたのか!?)
アレスは目を丸くしてドーハンを見つめた。
チラリと壁の貼り紙に目をやったドーハンは、面白そうにアレスを見た。
「こんなジジイで良ければ、仲間になってやらんでもないぞ?」
「えっ?」
アレスが驚いた顔をすると、「但し、女が仲間に入る事が条件じゃがな」と付け足す。
「はあ~!?」
声を上げるアレスを尻目に、ドーハンはニヤニヤ笑いながら店を出ていった。
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