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メリルの森に足を踏み込んだ一行は、辺りに注意を払いながら目的のカネツラの木を探して歩を進めた。
森には多くの広葉樹が生い茂っており、緑のコントラストを作り出している。時々枝葉の隙間から日の光が差し、森とはいっても、初心者冒険者向きの比較的歩きやすい場所だった。
アレスは薬屋の主に描いてもらった絵を見ながら、木々の葉っぱを調べて回る。
「これじゃないな。もっと奥のほうかな?」
「お願いしますよ。似たような物もありますからね。間違えないよう注意してください」
相変わらずの口調で、セオがアレスに念を押した。
「依頼の品が間違っていたとなれば、私達の信用度が落ちてしまいます。そんなことにはなりたくないですからね」
「分かってるよ! そんなに心配なら、セオが探せばいいだろう?」
アレスはムッとした顔で、手にした絵をセオに差し出した。
差し出された絵を一瞥し目を細めたセオは、アレスをジッと見下ろしながら静かな口調で言った。
「なに言ってるんです。リーダーはあなたでしょう? 私達はそれをサポートするのが仕事です。それに、あなたが受けた依頼なんですよ? あなたが責任もってやらなくて、どうするんです?」
(そんなことは分かってるよ。お前が余計なこと言うから……!)
アレスはぐっと唇を噛み締めた。
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