1・パーティーメンバーは問題あり?

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 それからどうなったのか覚えておらず、気がついたら噴水の前で倒れていて、一人の男が顔を覗きこんでいた。 「気が付きましたか? 良かった」 「俺は、いったい……」 「あの男達に殴られたんですよ。そのうちに気絶してしまったようで……」 「そっか、……って!」  アレスは重要な事に気付き飛び起きた。今、目の前にいる男に見覚えがある。 「ええ、私のせいです。巻き込んでしまったようで、申し訳ありません」  アレスの表情から見てとったのか、その男――セオは謝罪の言葉を口にした。 「あ……いや。済んだことだし、もういいけど」  それに、セオには直接的な罪はない。  だが、そんなアレスに、セオは思いもよらない発言をする。 「しかし、嫌なら『嫌だ』と、何故はっきり言わなかったんです?」 「……え?」 「あの女性に、無理矢理連れてこられたのでしょう? おそらく、その双剣の紋章を見てのことだとは思いますが」  そう言って、アレスの首もとにあるマントの留め飾りを見る。  それは、二本の剣を十字に組み合わせた形をした『双剣の紋章』。勇者試験に合格した者だけに与えられる――勇者の証だ。 「に、偽物じゃないからな。ちゃんと試験を受けて、合格したんだ。史上最低点……だったけど」  アレスはそのまま俯いてしまった。  勇者試験は数回受けたのだが、何度も不合格だった。やっと合格して、家族も友人も喜んでくれた。  もちろん、自分も嬉しかった。採点結果を見るまでは……。 「なるほど。あなたに足りないのは『自信』のようですね。そんなことでは、勇者の名折れですよ」 「そんな事は分かってる! 自信も無ければ、度胸もない。分かってるんだ……」  アレスは益々惨めになった。  そんなアレスを見て、セオはふうっと息を吐く。 「仕方ありませんね。私が手を貸しましょう」 「えっ?」 「これも何かの縁です。事実、私はあなたに助けられた訳ですし。あなたの仲間になりましょう」 「い、いいのか?」  ちょうど仲間を探していたアレスは、期待の眼差しでセオを見た。 「その代わり、あなたには立派な勇者になっていただきますよ。天界神ファーネスの教えのもと、全ての人に平和と幸福をもたらすために」  そう言って、整った顔立ちに笑みを浮かべる。 「えっ……」 (布教活動のため……?)  アレスは困惑した顔でセオを見たのだった。
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