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「アレスよ。もう少し奥まで行ってみてもいいんじゃないのか?」
アレスとセオのやり取りを聞いていたドーハンが、まるで助け船を出すように言った。
「そうね。まだ奥に続いてるみたいだし……。アレス。目を皿にして、見逃さないようにね」
と言うと、リディアはさっさと行ってしまった。
「さあ、我々も行きましょう」
「あ、ああ……」
アレスはセオの整った顔を見る。
「なんです?」
アレスの視線に気付いたセオが、首を傾げた。
「や……、なんでも」
(あの発言も、俺の為に言ってくれてるんだよな。一応)
アレスはそう自分に言い聞かせ、1人頷く。
「早くしないと、リディアが――」
と、セオが言いかけた時、
「アレス!」
向こうから、リディアが大きな声で呼んだ。
「今行くよ!」
リディアに呼ばれて走っていくアレスを見て、セオは「やれやれ」といったようにそっと溜め息をついた。
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