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「好きだ、愛している」
「えーっ」
「えーっ」
「え!?」
すると。
バキバギバギーンと教室の窓ガラスが一斉に割れた。
突然の暴風にクラスメートが叫ぶ。
外はいつの間にか暗雲が立ち込み、雹や霰が降っていた。
深也は愛理を片腕に抱きしめた。
「あ…」
深也の心音を感じて、頬を染める。
深也は窓ガラスの破片を頬に受け、ほんの少し血を流したが、外を黙って見ていた。
「ひ、引き剥がせーっ」
マリアの怒号に、外に待機していた、黒スーツと黒メガネの自立型二足歩行アンドロイドが教室に入ってきた。
服こそ着ていたが、明らかにそれと分かる大きさと動きと音に、パニックに陥った生徒の多くが泣き叫んだ。
「何だ」
アンドロイドは無言で、深也の両肩を掴み持ち上げた。
「おい、待てよ、服がっ、や、破けちゃうだろ」
平然と、じたばた動く深也を愛理から引き離した。
すると、暗雲が割れ、青空と光が差し込んだ。
次第に晴れ間が多くなり、あっという間に外は穏やかな空が戻った。
「け、怪我人はいないか、怪我したヤツはすぐ医務室へ連れて行け」
今のは何だったのだろう。生徒達に不安と懐疑が広がった。
アンドロイドに押さえ込まれている深也にマリアが近づいて行く。
「お、おい、は、離せよ…」
「今のは、発達した積乱雲が起こす局地的な突風、つまり竜巻だろう」
マリアは深也を見下ろして、続けた。
「…これで分かったと思うが」
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