第1章

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「彼女に関わるな、彼女に関われば、あらゆる災厄、禍、凶事がその身に降りかかる事になるのだ」 綾瀬愛理はそれを聞いていた。 ただ黙ったまま、眉根一つ動かさずに。 「ふ、ふざけるなよ」 「あん、何だ、貴様のせいで参事になりかけたのだぞ」 「彼女を…」 深也を押さえ込んでいるアンドロイドが、ガタガタと振るえ出す。 「な!?」 アンドロイドごと深也の身体が持ち上がってゆく。 「よくも、彼女を」 歯をむき出して、顔を真っ赤にして深也が立ち上がった。 「う、うわあっ」 マリアは恐怖に後ずさる。 ―あのアンドロイド アダムー6は200キロもあるんだぞ、それを持ち上げるだと― 頭上に掲げられたアダムー6を、マリアは見上げ、言葉を無くした。 グシャーン とマリアの目前にそれを落とすとアダムー6の首がもげた。 「ハア、ハア、ハア」 「あわわ…」 転がってきたアダムー6の首を踏み潰す。 「彼女を、泣かすなよ」 マリアは心の中で訝しんだ、そして愛理を見た。 見つめられた愛理は、か細く応えた。 「…泣いて、ないもん…」 ―泣いてないじゃん― 「分からないのかっ」 「ひいっ」 「彼女の精一杯の強がりを」 「い、いや、愛理様は泣いてないと…」 「バカッ、まあ良いや。さあ行こう」 深也が愛理に再度近づいて行く。 外にまた暗雲が広がり雷鳴が聞こえてきた。 「ま、待てっ」 右手を突き出し、言葉を制止する。 「君は、オレが守る」 バシュン 「え!?ん、あれ…」 乾いた音の出所は、愛理が構えたピストルからだった。 「何で…」 深也はバタンとうつ伏せに倒れた。 構えられたままのピストルの銃口がまだ、深也に向けられたまま。 教室に悲鳴が飛び交う。
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