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「彼女に関わるな、彼女に関われば、あらゆる災厄、禍、凶事がその身に降りかかる事になるのだ」
綾瀬愛理はそれを聞いていた。
ただ黙ったまま、眉根一つ動かさずに。
「ふ、ふざけるなよ」
「あん、何だ、貴様のせいで参事になりかけたのだぞ」
「彼女を…」
深也を押さえ込んでいるアンドロイドが、ガタガタと振るえ出す。
「な!?」
アンドロイドごと深也の身体が持ち上がってゆく。
「よくも、彼女を」
歯をむき出して、顔を真っ赤にして深也が立ち上がった。
「う、うわあっ」
マリアは恐怖に後ずさる。
―あのアンドロイド アダムー6は200キロもあるんだぞ、それを持ち上げるだと―
頭上に掲げられたアダムー6を、マリアは見上げ、言葉を無くした。
グシャーン
とマリアの目前にそれを落とすとアダムー6の首がもげた。
「ハア、ハア、ハア」
「あわわ…」
転がってきたアダムー6の首を踏み潰す。
「彼女を、泣かすなよ」
マリアは心の中で訝しんだ、そして愛理を見た。
見つめられた愛理は、か細く応えた。
「…泣いて、ないもん…」
―泣いてないじゃん―
「分からないのかっ」
「ひいっ」
「彼女の精一杯の強がりを」
「い、いや、愛理様は泣いてないと…」
「バカッ、まあ良いや。さあ行こう」
深也が愛理に再度近づいて行く。
外にまた暗雲が広がり雷鳴が聞こえてきた。
「ま、待てっ」
右手を突き出し、言葉を制止する。
「君は、オレが守る」
バシュン
「え!?ん、あれ…」
乾いた音の出所は、愛理が構えたピストルからだった。
「何で…」
深也はバタンとうつ伏せに倒れた。
構えられたままのピストルの銃口がまだ、深也に向けられたまま。
教室に悲鳴が飛び交う。
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