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あの花の咲く道を疑いもなく通る。
そして、学校から帰ると何時も此処に浮かんでた。
だって其処は俺の産まれた故郷だから……
誰一人怪しむこともなく、生活の全てを其処で行っていた。
後で考えれば解ることだけど、その時は俺はそう思っていた。
第一、無人島に学校なんて在るわけがないだろう。
プカリプカリと浮かんでた。
俺はマザーの羊水の中で胎児になって浮かんでた。
疑問なんて見てみない振りをして……
ただ此処に浮かんでた。
これが現実だと言うのだろうか?
あの花も、学校の匂いも覚えているのに……
本当に此処は無人島なのだろうか?
俺の疑念は其処から生まれたのかも知れない。
羊水遊び。
それが俺の趣味だ。
気が付くとそうなっていたのだ。
だって一番心が落ち着ける場所だったからだ。
不思議だろ?
エラも何も無いのに、水の中で普通に呼吸出来るんだ。
だから俺は其処にいるんだ。
海の中に造られたプールのようなマザーの羊水の中でプカリプカリと浮かんでいるんだ。
鉄柵の先の世界を夢みながら……
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