マザーの真実

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 マザーは代理母と呼ばれる機械だった。 俺達は元々その中で産まれ其処で暮らして居た。 俺達は極秘裏に造られたクローン紛いの生物だったのだ。 だから皆同じような顔をしていたのだ。 自分の意志で此処に居る。 そう植え付けるための映像を見せられていただけだったのだから。 学校へ行ったのは、俺達の本体だったんだ。 ES細胞を作ると言って余った体外受精卵を譲り受け、それを培養して人間の形にするんだ。 それが俺の下の兄弟達だったのだ。 俺と同時期に産まれた奴等も居るには居るが…… 今や逆転されつつあった。 目的は臓器売買か、人体取り換えだ。 だから本体と同じ映像を植え付けられていたのだ。  俺はそれに薄ら薄ら気付いていた。 だから俺だけが其処から弾き出されたのだ。 そう、俺はマザーから追放されたのだ。 何故気付いたのか? それが俺の潜在能力のズレだ。 はなっから判っていたのだろう。 マザーにしてみればそんなこととるに足りない案件だったはずなのだから。
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