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私はアメリカンショートヘアーのミヤ。
子猫の頃にママが居ないのが寂しくて、ミャーミャー泣いてたのを、勘違いした飼い主が鳴き声が可愛いからと付けた名前。
もう大人だし、寂しいからって泣かないもんね。
生まれつきダイクロイックアイの瞳を持つ私は、その瞳から外出が禁止されていて、この家、そして窓から見える世界が全てだ。
一度くらいは外の世界に出てみたいな。
そんな風に今日も太陽が降り注ぐ外を眺めていたら、お隣のお家の窓辺に大きな生き物が現れた。
黒くて艶々してて、いつ見てもおっきな口をこれでもかと見せつけるように欠伸している。
『あれくらいおっきかったら、私も外で遊べるのかなー』
そうして私の妄想は広がって行く。
あの黒い犬さん、実は魔法使いの手下で、こんな目をした私を見張っているのだろう。
そうしていつか自由になれた時、自分の仲間にする為に、機会を伺っているのかも知れない。
だから私は何事も無いように、いつもあの犬さんの前で毛づくろいをして見せて、優雅に歩いてみせる。
私はただの猫ですよー
私は魔法は使えませんよー
でももしも、もしもだよ?
犬さんに化けた王子様だとしたら、私を見定めいるかも知れない。
あいつを私の姫にしても良い猫かどうか、考えているのかも知れない。
だから時々『ワンッ』と吠えて見せるのかもしれない。
そうならそうと、もっとしゃんとしなければいけない。
だから優雅に歩いて見せてもいる。
果たしてあの犬さんはどちらの姿なのか。
そんな事を思いながら、暖かい日差しの窓辺で、うつらうつらと夢の世界へ向かい始めた。
完
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