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「急に、ひらきなおりましたね。一つずつ説明しないといけませんか? 僕は、あなたが犯人だと確信しています」
「じゃあ、説明してもらおうかな。君にはムリだと思うが」
タクミはくちびるをかんだ。
「もとはと言えば、僕がオリビエさんに情けをかけたのがいけなかったんです。最初に、オリビエさんがダイアナの寝室に侵入したとき、断固、警察につきだしておくべきだった。
そうすれば、少なくともオリビエさんとアンさんが殺されることはなかった。
アンさんが死ななければ、カメラマンのアーチャーさんも、あなたをたずねてくることはなかった。
悔やみますよ。たったひとつ、判断をあやまったばかりに、死ななくていい命が三つも失われてしまった」
アンソニーは何か言いかけた。
だが、そのまま口をつぐむ。
タクミは続ける。
「オリビエさんは、あなたをゆすったんでしょう? 僕らがダイアナから依頼を受けていると知ると、オリビエさんは自分なりに思案して、あなたかアルバートなんだと考えた。
アルバートなら、ダイアナとの離婚に応じ、オリビエさんがダイアナと暮らす新居を買えるくらいの額の口止め料を払うとね。
あなたはオリビエさんの口から、初めて、僕たちが探偵だと知った。あなたが双子の弟と入れかわっている可能性を調べているんだということを」
それは、まちがいあるまい。
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