五章 エンパシーゴースト-3

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あなたは、いったん、オリビエに屈し、彼の行動を認めたように見せかけた。油断したオリビエを爪のスタンガンで失神させたうえ、殺害した。 いや、殺害したのは、ダイアナの寝室までオリビエを運び入れたあとかもしれない。 とにかく、オリビエさんは自分の足で、ダイアナの部屋まで行くことはできなかった。 その証拠に、オリビエさんの遺体はスリッパをはいてなかったし、くつしたもぬげかけていた。あなたが、失神してるオリビエをひきずっていったからでしょう? ダイアナの部屋の旧式なカギは、オリビエか持っていた。室内に入ったあなたは、催眠銃でダイアナが当面、目ざめないようにした。 オリビエの死体を部屋に残し、外からカギをかけて、密室にしておいた。 あなたの計算では、侵入してきたオリビエに抵抗したダイアナが、あやまって彼を殺してしまった、正当防衛だったーーということになるはずだった。 正当防衛なら、政財界に顔のきくあなたは、事件をもみけしてしまうことができた。それに、ダイアナの弱みもにぎることができる。このことは一生、秘密にするからと言えば、結婚に有利になる。 だが、あの夜、思いがけない侵入者が現れた。オシリスがね。あなたの計画は成り立たなくなった。オリビエを殺したのは、なぞの侵入者ということになりそうだ。これは警察を呼ばなければ不自然だ。     
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